「ヴェスペレ」の歌詞はラテン語だが,ミサ通常文ではなく,旧約聖書からのいくつかの詩篇(psalms)に加え,最後に新約「ルカ福音書」からの聖母マリアによる賛歌「マニフィカト」に作曲するという形式が決まっていた。
受胎告知を受けたマリアが喜びと感謝の内に神を讃える「マニフィカト」は,プロテスタント教会でもしばしばラテン語のまま歌われ,バッハ,シュッツを初め,名作が多い。
なお,モーツァルトにはもう1曲の「ヴェスペレ」(同じくハ長調,K.321,1779年作曲)があることを付け加える。
全体は以下の6つの楽章から成り,ルネサンス期ミサ曲の循環形式のように,同じテーマがいくつもの楽章で現れる点が1つの特徴のようである:
1. Dixit Dominus 主は言われる [詩篇109(110)]
2. Confitebor 主をほめまつる [詩篇110(111)]
3. Beatus vir さいわいなるかな [詩篇111(112)]
4. Laudate pueri ほめたたえよ,主の僕たちよ
[詩篇112(113)]
5. Laudate Dominum 主をほめたたえよ [詩篇116(117)]
6. Magnificat 我が魂は主をあがめ [ルカ伝,I,46-55]
すべての章は,次の同じ歌詞(栄唱)で終る(この歌詞は英語でパーセルの
Jubilate Deo にもあった):
Gloria Patri, et Filio, et Spiritui Sancto.
父と子と聖霊に栄光あれ。
Sicut erat in principio, et nunc, et semper,
始めにありしごとく,いまも いつも,
et saecula saeculorum. Amen. 世々限りなく。アーメン。 |
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