モーツァルト「ヴェスペレ」ハ長調 K.339について

第14回コンサート
西混TOPページ

ベース K.H.さんが、モーツァルト「ヴェスペレ」について調べられましたので、以下、ご紹介します。(2004.8.19改訂)

ヴェスペレK339楽譜表紙


モーツァルト W.A.Mozart (1756--1791) の現存50曲余りの宗教音楽は,大部分が故郷ザルツブルクのカトリック教会のためにかかれており,今回,益子先生のご指導で歌うことになった[Vesperae Solennes de Confessore K.339]は,そのザルツブルク時代最後の作品(1780年作曲)。
因みに,彼がウィーンに出てからかいた宗教作品はレクイエム K.626,大ミサ曲ハ短調 K.427(417a),アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618 の3曲のみである。

この曲は,レクイエムやミサ曲に次いで著名な作品らしく,かってFM放送で聴いて,レコードを探したものであった。とくに,後半の4・5・6章はなかなか美しい。やや面倒なタイトルの邦訳は[「証聖者の盛儀(荘厳)晩課」あるいは「聴聞僧の厳かな夕べの祈り」]など。ヴェスペレ(vesperae)またはヴェスプロ(vespro イタリア語?)とは,カトリック教会で信徒が集うミサの他に,聖職者が行う1日8回の聖務日課(または時課,オフィツィウム)の内,日没時に行われるもので「晩課」,「晩祷」あるいは「夕べの祈り」と訳される(「挽歌」ではない)。
モンテヴェルディの大作「聖母マリアのための晩課」はとくに有名。
また,confessore とは英語の confessor に相当し,@証聖者(殉教者でない聖人),A聴罪司祭の2つの意味があり,「聴聞僧の・・・」という邦訳はAによるものであろうが,「証聖者」とするのが正しいようである。
最後に,solennesとは「荘厳(盛儀)ミサ Missa Solemnis」と同様に,通常より大がかりなお勤めを指すのであろう。
 
「ヴェスペレ」の歌詞はラテン語だが,ミサ通常文ではなく,旧約聖書からのいくつかの詩篇(psalms)に加え,最後に新約「ルカ福音書」からの聖母マリアによる賛歌「マニフィカト」に作曲するという形式が決まっていた。
受胎告知を受けたマリアが喜びと感謝の内に神を讃える「マニフィカト」は,プロテスタント教会でもしばしばラテン語のまま歌われ,バッハ,シュッツを初め,名作が多い。
なお,モーツァルトにはもう1曲の「ヴェスペレ」(同じくハ長調,K.321,1779年作曲)があることを付け加える。

全体は以下の6つの楽章から成り,ルネサンス期ミサ曲の循環形式のように,同じテーマがいくつもの楽章で現れる点が1つの特徴のようである:

 1.   Dixit Dominus   主は言われる   [詩篇109(110)]
 2.   Confitebor   主をほめまつる   [詩篇110(111)]
 3.   Beatus vir   さいわいなるかな   [詩篇111(112)]
 4.   Laudate pueri   ほめたたえよ,主の僕たちよ    [詩篇112(113)]
 5.   Laudate Dominum   主をほめたたえよ   [詩篇116(117)]
 6.   Magnificat   我が魂は主をあがめ   [ルカ伝,I,46-55]

すべての章は,次の同じ歌詞(栄唱)で終る(この歌詞は英語でパーセルの Jubilate Deo にもあった):

Gloria Patri, et Filio, et Spiritui Sancto.    父と子と聖霊に栄光あれ。
Sicut erat in principio, et nunc, et semper,    始めにありしごとく,いまも いつも,
et saecula saeculorum. Amen.   世々限りなく。アーメン。

 


 

「ヴェスペレ」が入ったレコードのご紹介

モーツァルト:宗教音楽全集第2集(戴冠式ミサ/ヴェスペレ)

 

ワーナーミュージック・ジャパン - 2002/03/27

1. 戴冠式ミサ*ミサ曲ハ長調
    Wolfgang AmadeusMOZART
  演奏: ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
  指揮 アーノンクール(ニコラウス)

2. 証聖者の盛儀晩課(ヴェスペレ) ハ長調K.339
  Wolfgang AmadeusMOZART
  指揮 アーノンクール(ニコラウス)
  Sop: ジョーン・ロジャーズ
  合唱: アーノルト・シェーンベルク合唱団
       ウィーン王宮礼拝堂合唱隊
  オケ: ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
  録音: 1986/12 ウィーン

このレコードについて

2曲目の「証聖者の盛儀晩課(ヴェスペレ) ハ長調K.339」が、西混で歌う曲ですが、当レコードには、私たちが手にする楽譜での各曲(MOZARTの曲)の前後に、グレゴリオ聖歌のアンティフォナが収められています。

<ご参考> CD定価: ¥2,000ですが、アマゾンで購入すれば、価格: ¥1,900となるそうです。

 


西神戸混声合唱団

表紙頁に戻る→